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2011年10月 7日 (金)

アマコンレポート

今年のアマコンレポート(HP用)は9月頭に提出したのですが、係の方がお忙しいようで未だに協会HPが更新されていません。
首を長くしてお待ちの参加者もいらっしゃると思いますので、代表の志田さんの了解を得まして、こちらで先に掲載させて頂きます。また後日、協会HPの方に写真と共にアップされる筈ですので、その時は改めてお知らせいたします。

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2011年8月21日(日)、三鷹市芸術文化センター 風のホールにて、『第12回全日本アマチュアギターコンクール』が開催されました。
以下は、審査員の1人、坪川真理子の個人的レポートである事をご了承下さい。

 今年は78名の応募者から48名が第2次(テープ)予選を通過し、3名が欠場したため最終予選参加者は45名となり、そのうち10名が本選に駒を進めた。審査員は、全日本ギター協会より代表 志田英利子、委員 石田忠、坪川真理子、中島晴美(以上ギタリスト)、堀江志磨(ピアニスト)、ゲスト 佐藤弘和(作曲家・ギタリスト)、河野智美(ギタリスト)の7名。

<最終予選>
課題曲:盗賊の歌(リョベート)/現代ギター社版「発表会用ギター名曲集」指定

 まず、6月上旬に行われたテープの第2次予選は、「ワルツ ホ長調Op.32-2(ソル)」で「リピートなし、D.C.(ダ・カーポ)あり」で、D.C.なしで録音してしまい減点となった人が数名いたのは残念だった。毎年リピートなどの勘違いミスで減点対象となり予選を通過できない人がいるので、自信がない人は協会に問い合わせて頂きたいと思う。

 最終予選課題曲の「盗賊の歌」は意外と難しかったようで、5小節目辺りで失敗する人が多く、また度忘れも少なくなかった。読譜ミスとしては、7小節1拍目裏のラ(④弦)を3弦で弾いてレになっていたり、30小節の3拍目裏の複音を1拍目裏と同じに弾いていたり、31小節最後のハーモニックスの音が違っているパターンが数名見受けられた。
 この曲はテンポ設定が多少速めでも遅めでも、ゆったりメロディーを歌えているかが大切なポイントになったと思う。CDと同じ速さで弾いても、奏者が余裕を持って弾けなければゆったりとは聴こえないものだ。
 
 採点は5点満点で審査員7名分の合計を出し、今回は28点以上でちょうど10名が合格となった。ちなみに、27点は岡戸一浩、26点が秋庭辰則と花木文弘、25点が小川正明と森山 隆でもう一歩だった(以上50音順)。

<本選>
 自由曲5分以上8分以内、曲数任意(時間不足や超過は減点)

 本選出場者発表前に昨年度優勝者の岩堀恭宏(やすひろ)がゲスト演奏を行い、インタビューなどがあった。以下、10名のレポートを演奏順に記す。

 佐々木宣博(のぶひろ)(東京):ロンドOp.2-2(アグアド)
 前年度3位。きれいな音で丁寧に弾いていて好印象だが、細かい傷が多い。とにかく難曲なので、完成度で他の人と比べるのは酷に感じた。次席の金田(かなだ)さんと同票になり、「難曲にチャレンジしたことを評価しましょう」という意味も込めて特別賞となった。<特別賞>

 柴田光雄(埼玉):タールベルクの主題と練習曲(タレガ)
 重厚な音。これも難曲だが、冒頭のミスが目立ってしまったのと、調弦のせいで和音の響きが今ひとつだったのが惜しい。トレモロがとてもきれいだったので、強弱や速度変化で表情を付けられれば更に良くなると思う。

 松山古源(こげん)(宮城):アリアと変奏(フレスコバルディ)
 最終予選1位通過。太い音で響きを楽しむ余裕がある演奏だった。メロディーに対して内声をもう少し出せるとバランスが取れるだろう。まだ21歳ということで、これから楽しみだ。<第1位>

 串田洋司(ひろし)(神奈川):想いの届く日(ガルデル)
 弾き慣れた曲を気軽に弾いているような印象。ハーモニックスの部分がもう一歩で、多少の傷はあるが美しい音で心地良く歌って聴かせた。コンクールとしてはもう1曲聴きたいという審査員が多かった。<第3位>

 矢﨑理江(山梨):前奏曲第2番(ヴィラ=ロボス)
 とても丁寧にきれいに弾いているが、テンポが遅く均一過ぎるので、もう少し動きが欲しかった。中間部も推進力が足りない。4分30秒で時間不足(減点)となってしまったので、もう1曲組み合わせられれば良かった。

 金田(かなだ)弘幸(愛知):ワルツ・ショーロ(ヴィラ=ロボス)
 力強い音でビブラートを効果的に使い、楽器をよく響かせている。内声が小さくバランスがもう一歩なのが気になったが、落ち着いていてとても雰囲気のある演奏だった。くり返し部分は少し変化を付けられると更に良くなると思う。<次席>

 田吹(たぶき)秀一(ひでいち)(千葉):BWV1002〜ブーレ、ドゥーブル(バッハ)
 低音は響いているが、高音がこもり気味で全体的にバランスが今一つだった。ドゥーブルでの度忘れが惜しかったが、立ち直ったのは立派だったと思う。テンポや音楽の流れは良かったので、暗譜を意識的にできると良いだろう。
 
 山内文夫(千葉):トリーハ(トローバ)、フリア・フロリダ(バリオス)
 柔らかく太い音だが、調弦がもう一歩。音楽的な工夫があり、気持ちを込めて歌って聴かせた。どちらもゆったりとした曲だったので、違うタイプの曲を並べた方がコンクールでは効果的だと思う。<第2位>

 増田誠一郎(千葉):アルハンブラの想い出(タレガ)、ロマンツァ(プホール)
 少し音が細めだが、トレモロの粒は揃っているしフレージングもできているので、音量で表情を付けられれば良くなるだろう。8分18秒と時間超過で減点対象となってしまったが、高めに評価した審査員も数名いた。

 賀谷(かや)直樹(北海道):ショーロス第1番(ヴィラ=ロボス)、トロイメライ(シューマン〜タレガ編)
 明るいはっきりとした音色。ショーロスでは細かいところが雑になってしまった。トロイメライは硬めの演奏だったが、ロマン派の曲なのでもう少しなめらかに、音楽が流れると良いと思う。

<総評>
 今回は難易度がそれほど高くない曲を演奏した人が多かったこともあって比較するのがとても難しく、審査員の票が割れた。そんな中でも4人が1位を付けた松山さんが優勝となった。松山さんはこのコンクール史上最年少優勝であり、最終予選と本選を通じてどちらも1位というのは初の快挙だった。他に、佐々木さん、金田さん、山内さんに1名ずつが1位を付けていた(本選の採点は6点満点で、1位〜6位にそれぞれ6〜1点を付けて合計する方法)。
 このコンクールでは曲の難易度よりも完成度で評価される傾向にあると思うが、今回はそれを踏まえてか易しい曲を揃えてきた方が多く、審査にとても悩んでしまった。私自身がそれを推奨するような事を過去のレポートに書いてきたし、完成度が高いというのはとても大事なポイントだが、コンクールとしては易しい曲だけでは物足りなく、易しい曲+難しめの曲、あるいはゆったりの曲+速めの曲など違うタイプの曲を聴きたいものだ。

 最後に、聴衆の方から「若いプロ志望のような人が優勝すると、アマコンの意義がないのではないか」というご意見を頂いたことをご報告しておきたい。松山さんがプロ志望かどうかは分からないが、インタビューで無職と答えられた事でそう取られたのかもしれない。
 確かに、当コンクールは「趣味でギターを弾いている大人のためのコンクール」であり、そのために「学生不可、20歳以上、他のコンクールで3位までに入賞経験がある人は不可」となっている訳だが、その条件を満たしている以上は公平に審査するしかないのが実情だ。個人的には参加条件の変更なども考えられると思うが、これから委員会で話し合っていきたい。

 来年は8月25日(土)開催に決定した。毎年同じ第1次予選(テープ審査)課題曲が「愛のロマンス(禁じられた遊び)〜前半のみ(作者不詳)」。第2次予選(テープ審査)が「鐘の響(ペルナンブコ)」、最終予選(公開審査)が組曲ニ短調から「Bourrée(ブーレ)」と「Gigue(ジーグ)」(ド・ヴィゼー)」。課題曲はいずれも現代ギター社版「本気のクラシック・ギター 名曲てんこもりBOOK おかわり1」または「クラシックギター名曲集 帰ってきたてんこもり1&2」を使用し、くり返しは省略、D.S.(ダル・セーニョ)は付けること。なお、「鐘の響」は過去に一度課題曲になっているが、その時とは指定版が違うので注意して頂きたい。本選(公開審査)は5分以上8分以内の自由曲、曲数任意(複数曲の場合、演奏時間には途中の調弦、曲間も含まれる。なお、規定時間外は減点となる)。来年も是非、また多くの方々に参加して頂けるのを楽しみにしている。

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